岩手行ってきました

秋田北東部への旅の続きで、今回は岩手にも足を延ばしました。これまで岩手には行く機会がなかったため、せっかくなら訪れてみたいと思ったのです。岩手県盛岡市は、わんこそば、盛岡冷麺、じゃじゃ麺の3種類の麺が名物として知られています。どれも食べたことがなかったので、味わうのが楽しみでした。秋田での自然や文化を満喫した後、異なる魅力を持つ岩手のグルメも堪能したいという期待が高まりました。

松尾鉱山跡

鹿角からアスピーテラインを通り、緑豊かな八幡平を経由して向かうと、まるで時が止まったような場所「松尾鉱山跡」にたどり着きます。

アスピーテラインから松尾鉱山跡を望む

標高1000メートル以上の山地に広がるこの廃墟は、かつて日本最大規模の硫黄鉱山として栄えた場所です。

松尾鉱山は大正から昭和期にかけて隆盛を誇り、一時は5000人以上の鉱夫やその家族が暮らし、周辺には学校、病院、商店など生活インフラが整備されていました。しかし、1950年代後半から硫黄の需要が低下し、1971年には完全閉山。自然豊かな山間の町は突如として無人の地と化し、現在は風化しつつあるコンクリートの建物や錆びた設備が残されています。特に、独特の荒廃した建物の並びは、かつての繁栄の名残と歴史の儚さを感じさせるものです。

また、松尾鉱山跡からは美しい八幡平の山々を一望することができ、荒廃した建物と壮大な自然が交錯する風景は一見の価値があります。秋になると紅葉が山を彩り、廃墟と自然が織りなす美しいコントラストが見どころです。

・所在地: 岩手県八幡平市松尾寄木
・開山: 1914年
・閉山: 1971年
・主な産出物: 硫黄、黄鉄鉱
・歴史: 松尾鉱山は一時期、東洋一の硫黄鉱山として知られており、最盛期には約13,594人が鉱山町に住んでいました。
・現在の状況: 鉱山跡地には廃墟となった労働者用集合住宅(緑が丘アパート)が残っており、廃墟マニアに人気のスポットとなっています。

焼き走り溶岩流

岩手県の象徴ともいえる岩手山。その山麓には、まるで別世界のような風景が広がる「焼き走り溶岩流」があります。ここは、1732年の岩手山噴火によって流れ出た溶岩が固まってできた場所で、全長は約3キロメートル、面積はおよそ100万平方メートルにも及びます。何百年も前に激しい自然の力で形作られたこの地は、今も当時の痕跡を色濃く残しています。

焼き走り溶岩流に足を踏み入れると、まるで時間が止まっているかのような静寂が支配しています。近くには鳥の鳴き声もなく、ただしんとした空気が漂っています。その静けさに包まれながら、目に飛び込んでくるのは一面に広がる黒い溶岩の大地。細かい石や岩が無数に転がり、ここには草木もあまり育たない荒々しい景色が続いています。しかし、その無機質な風景の中に、一際目立つ「一本松」が立っています。

この松は、過酷な環境の中でも力強く根を張り、生き続けています。周囲が溶岩に覆われているためか、一本だけポツンとそびえる姿は神秘的で、見る者に強い生命力を感じさせます。何百年もかけて自然の力に耐え抜きながら、岩手山の麓で変わらぬ姿を見せてくれる一本松は、この地の象徴とも言える存在でしょう。

焼き走り溶岩流を訪れると、人間のスケールを超えた自然の力を感じずにはいられません。この場所では、自然の壮大さと儚さが共存し、訪れた者に深い感銘を与えてくれることでしょう。

・所在地: 岩手県八幡平市平笠第24地割720-2
・形成: 享保17年(1732年)の岩手山大噴火による溶岩流
・面積: 約149.63ヘクタール
・延長: 約4キロメートル
・特徴: 溶岩流の表面は波紋状の凸凹があり、「虎形」と呼ばれる模様が見られます。また、植物がほとんど生息できない環境が続いています。
・アクセス: 盛岡駅から在来線で大更駅まで約40分、そこからタクシーで約15分。または、西根ICから車で約15分。

松川玄武岩渓谷

岩手山付近に訪れたときは、ふもとにある松川玄武岩地帯はぜひ訪れたいスポットです。約17万年前の岩手山の噴火により作り出されたこの地帯は、黒々とした玄武岩が壮大な景観を形作っており、長い年月の間に川の浸食で削られ、美しい渓谷が現れました。特に松川温泉周辺では、川の水と玄武岩が織りなす自然のアートが楽しめます。

松川玄武岩地帯の見どころは、独特な形状の岩や、透き通る清流が生み出す絶景です。季節ごとに異なる表情を見せ、特に秋には紅葉が岩肌を彩り、壮観な風景が広がります。

ハイキングコースも整備されているため、ゆっくりと自然を感じながら歩くのもおすすめです。松川玄武岩の雄大な自然を体感し、岩手山の歴史や地形の神秘に触れることで、岩手の大自然を深く味わえることでしょう。

・所在地: 岩手県八幡平市松尾寄木第1地割
・特徴: 松川渓谷の玄武岩は、火成岩の柱状節理が見られる場所で、特に紅葉シーズンには色づいた広葉樹と松川とのコントラストが美しいとされています。
・アクセス: JR東北本線大更駅から松川温泉行きのバスで約40分、下倉スキー場入口下車で徒歩5分。または、東北道松尾八幡平ICから車で約15分。
・見どころ: 森の大橋や松川大橋からの眺めが特におすすめで、紅葉の見頃は10月中旬頃です。

かかし屋

盛岡の「かかし屋」は、地元の新鮮な魚介を豊富に楽しめるお店です。

店舗入口 刺身の店であることをアピールする張り紙がある

特に圧巻なのが、13種類のネタが豪華に並ぶ「刺身盛り合わせ」。一皿でこれだけの種類が味わえるのは贅沢で、盛岡の隠れた名店として注目されています。

炙りの香ばしい鰆や、脂ののったブリ、コリコリとした歯ごたえが魅力の赤貝など、一つひとつが素材の新鮮さを感じさせます。カジキマグロは柔らかさとコクがあり、ホタテの甘さが広がる一口もたまりません。

さらに、水だこの淡泊な味や、イワシの濃厚な旨み、中とろのとろける脂、カンパチやタイの爽やかな風味が刺身盛りに多彩な表情を与えます。加えて、カツオの旨みとウニの濃厚な甘み、弾力あるメダイも加わり、どれも一口ごとに異なる味わいが楽しめます。

そんな贅沢な刺身には、岩手花巻市の地酒「酔右衛門」をいただきました。生原酒特有の荒々しい感じはなく、穏やかな優しい飲み口。酸味も控え目で食べ物の味を引き立てていました。

酔右衛門
牛すじ煮込み
エビフライも特大!

牛すじは、驚くほど柔らかく、口の中でほどける旨みが溢れ、深い味わいが心に染み渡ります。一方、エビフライはサクサクの衣に包まれたプリっとした身が絶品。熱々で香ばしい風味がたまらず、思わず笑顔になりました。

温かい雰囲気に包まれた店内で、盛岡の新鮮な海の幸と地酒を味わい、心ゆくまで贅沢なひとときを過ごすことができました。

・住所: 岩手県盛岡市菜園2丁目3-22 バンベールビルB1F
・電話番号: 019-654-2250
・営業時間: 月曜日から土曜日まで 17:30 – 23:00
・定休日: 日曜日

啄木新婚の家

盛岡市の中心部に位置し、詩人石川啄木とその妻堀合節子が新婚生活を始めた場所です。この家は、盛岡市内で唯一現存する武家屋敷であり、1905年(明治38年)に建てられたとされています。啄木と節子がここで過ごしたのはわずか3週間でしたが、その短い期間にも多くの思い出が詰まっています。

家の内部には、啄木の年表や彼が連載していた新聞「岩手日報」に関する展示があり、彼の人生や作品について詳しく知ることができます。また、啄木と節子の新婚生活にまつわるエピソードも紹介されており、訪れる人々にとって興味深い内容となっています。

この家は、盛岡駅から徒歩約10分の場所にあり、アクセスも非常に便利です。周囲は静かな住宅街で、訪れる人々は啄木が過ごした当時の雰囲気を感じながら、ゆっくりと見学することができます。特に、和室や縁側に座って過ごす時間は、まるで啄木がそこにいるかのような錯覚を覚えることでしょう。

啄木新婚の家は、詩人石川啄木のファンだけでなく、歴史や文化に興味がある人々にとっても魅力的なスポットです。啄木の詩や彼の生きた時代に思いを馳せながら、心静かに過ごすひとときは、きっと忘れられない思い出になるのではないでしょうか。

・所在地: 岩手県盛岡市中央通3丁目17-18(盛岡駅から徒歩約10分)
・電話番号: 019-654-2055
・開館時間: 9:00~17:00(最終入館は16:30まで)
・休館日: 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
・入館料: 無料                                   

岩手銀行 赤レンガ館

盛岡市の中心部に位置する「岩手銀行赤レンガ館」は、歴史と文化が交錯する魅力的なスポットです。この建物は、1911年(明治44年)に盛岡銀行の本店として完成し、設計は東京駅を手掛けた辰野金吾と葛西萬司によるものです。赤レンガの外観が特徴的で、国の重要文化財にも指定されています。

赤レンガ館は、2016年に多目的ホールや展示施設として再オープンしました。館内には、当時の銀行業務を再現した展示や、盛岡の産業・商業の歴史を紹介するライブラリー・ラウンジがあります。また、応接室や金庫室など、創建当時の姿をそのまま残したエリアも見どころの一つです。

アクセスも便利で、盛岡駅から徒歩約10分の場所に位置しています。周囲には、もりおか啄木・賢治青春館や盛岡城跡公園などの観光スポットも点在しており、観光の合間に立ち寄るのに最適です。

赤レンガ館では、定期的に様々なイベントや展示が開催されており、訪れるたびに新しい発見があります。例えば、地元のアーティストによる展示会や、地域の伝統工芸品の紹介など、多彩なプログラムが用意されています。

歴史的な建物の中で、過去と現在が融合する空間を楽しむことができる「岩手銀行赤レンガ館」。盛岡を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。


・所在地: 岩手県盛岡市中ノ橋通1丁目2-20( 盛岡駅から徒歩約10分)
・開館時間: 10:00~17:00
・休館日: 火曜日、年末年始(12月29日~1月3日)
・入館料:有料ゾーン(盛岡銀行ゾーン + バーチャルシアター) 大人300円、小中学生100円
・電話番号: 019-622-1236

啄木・賢治青春館

石川啄木と宮沢賢治の青春時代をテーマにしたユニークな施設です。盛岡駅から徒歩圏内に位置し、観光客や文学ファンにとって必見のスポットです。

館内には、啄木と賢治の生涯や作品に関する展示が充実しており、彼らの詩やエッセイ、手紙などが展示されています。特に、啄木の詩集や賢治の童話に触れることで、彼らの文学的な世界観を深く理解することができます。また、彼らが過ごした青春時代のエピソードや、当時の盛岡の風景を再現した展示もあり、訪れる人々にとって感慨深い体験となるでしょう。

さらに、館内にはカフェやショップも併設されており、啄木や賢治にちなんだオリジナルグッズや書籍を購入することができます。カフェでは、彼らの作品にちなんだメニューが楽しめるため、文学に浸りながらゆったりとした時間を過ごすことができます。

啄木・賢治青春館は、文学ファンだけでなく、歴史や文化に興味がある人々にもおすすめの場所です。盛岡の美しい自然と共に、啄木と賢治の青春時代に思いを馳せるひとときを過ごすことができると思います。

・住所: 岩手県盛岡市中ノ橋通1丁目1-25
・電話番号: 019-604-8900
・開館時間: 10:00 – 18:00(最終入館 17:30)
・休館日: 毎月第2火曜日・年末年始(12月29日 – 1月3日)
・入館料: 無料

盛楼閣

盛岡駅前にある「盛楼閣」は、地元でも観光客にも大人気の焼肉店です。店内は落ち着いた雰囲気で、テーブル席や座敷、個室など様々なシーンに対応しています。私が訪れた際には、焼肉の上定食、並定食、そして冷麺を堪能しました。

まず、上定食は2,800円で、ロース、キムチ、ナムル、生野菜、生玉子、ライス、スープがセットになっています。ロースは肉厚で柔らかく、焼いてもジューシーさが失われず、上質な味わいが楽しめました。ナムルやキムチも絶妙な味付けで、ご飯が進みます。

上定食(左)と並定食(右)

次に、並定食は1,700円で、カルビ、キムチ、生玉子、ライス、スープがセットです。カルビはロースに比べてさっぱりとした味わいで、こちらも美味しくいただきました。特に、生玉子を絡めて食べると、まろやかな風味が加わり、一層美味しさが引き立ちます。

タレが染み込んだ肉を生玉子に絡める

そして、盛楼閣の看板メニューである冷麺。手練りの麺はしっかりとしたコシがあり、牛スネや脂をじっくり煮込んだ旨味たっぷりのスープと特製キムチが絶妙なハーモニーを生み出しています。辛さも選べるので、自分好みの味を楽しめます。

盛楼閣は、焼肉と冷麺の両方を楽しめる贅沢なひとときを提供してくれるお店でした。

・住所: 岩手県盛岡市盛岡駅前通15-5(JR盛岡駅から徒歩約3分)
・電話番号: 019-654-87521
・営業時間: 11:00 – 00:00(年中無休)

福田パン

地元の人々に愛される老舗のパン屋さんです。1948年に創業し、以来、ふっくらとしたコッペパンで多くの人々を魅了してきました。特に人気なのは、あんバターやピーナツバターなどの定番メニューで、どれも一度食べたら忘れられない美味しさです。

福田パンの本店は、盛岡駅から徒歩約15分の場所にあり、観光客にもアクセスしやすい立地です。店内には、たくさんの種類のコッペパンが並び、どれを選ぶか迷ってしまうほど。甘いクリームやお惣菜系の具材を挟んだパンは、朝食やランチにぴったりです。

おしながき

また、福田パンはその場で具材を挟んでくれるスタイルが特徴で、自分好みの組み合わせを楽しむことができます。地元の人々にとっては、まさにソウルフードとも言える存在です。

組み合わせ・注文方法と料金について

・住所: 岩手県盛岡市長田町12-11(盛岡駅から徒歩約15分)
・電話番号: 019-622-5896
・営業時間: 7:00 – 16:00(火曜日定休)
・定休日: 火曜日

岩手県立博物館

岩手県の歴史や文化を深く学べる場所として、多くの人々に親しまれています。1980年に開館し、以来、地元の人々や観光客にとって貴重な学びの場となっています。

博物館は、盛岡駅から北東に約7キロの場所に位置し、晴れた日には2階のグランドホールから美しい岩手山を望むことができます。館内には、岩手県の自然、歴史、文化に関する多彩な展示があり、特に重要文化財に指定されている旧佐々木家住宅や旧藤野家住宅が見どころです。これらの民家は、当時の生活様式や建築技術を知る上で非常に貴重な資料となっています。

入口付近にある毘沙門天立像
岩手県の伝統行事 チャグチャグ馬コ

また、博物館の敷地内には植物園や岩石園もあり、県内の草木や岩石を集めた展示が楽しめます。これにより、岩手県の豊かな自然環境を身近に感じることができます。

縄文時代の遺物や生活道具が展示されており、当時の人々の暮らしぶりを垣間見ることができました。特に、遮光器土偶を見たときには、古代からの視線がこちらに注がれているような不思議な迫力を感じます。その特徴的な大きな目と独特なフォルムには、はるか昔の人々の祈りや信仰が宿っているかのようで、時代を超えた存在感がありました。

遮光器土偶をはじめとした縄文土偶

岩手県立博物館は、家族連れや学生、歴史愛好家にとっても楽しめる場所です。訪れる際には、ぜひ時間をかけてじっくりと展示を見て回ってください。盛岡の美しい自然と共に、岩手県の歴史と文化に触れるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

″岩手の宝″大谷の新聞記事も展示されていた

・住所: 岩手県盛岡市上田松屋敷34
・電話番号: 019-661-2831
・開館時間: 9:30 – 16:30(最終入館 16:00)
・休館日: 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日 – 1月3日)
・入館料: 一般330円、学生150円(高校生以下無料)

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